元夫に不倫され養育費未払い…でも諦めないで。履行勧告と強制執行で取り戻す方法

離婚後、子どもの将来を考えて養育費を約束したのに、元配偶者が払ってくれない――。特に小さな子どもを抱えるシングルマザーにとって、それは経済的にも精神的にも大きな負担です。
しかし、「養育費の未払い=泣き寝入り」ではありません。日本の法律には、支払いを促す「履行勧告」や、どうしても応じない場合に財産を差し押さえる「強制執行」という制度があります。今回は、それらの制度をわかりやすく解説。あなたとお子さんの生活を守るための第一歩を、一緒に考えてみましょう。
なぜ養育費は重要? ― 義務であり、子どもの権利
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離婚した後も、子どもと離れて暮らす親には「養育費を支払う義務」があります。たとえ親が別れても、子どもの生活水準・教育・将来のための扶養義務はなくなりません。
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しかし現実には、決めたはずの養育費が支払われないケースは少なくありません。母子世帯の養育費受給率は低く、多くのシングルマザーが経済的に苦しい状況にあります。
だからこそ、「言ったはず」「約束したはず」に頼るのではなく、法律を味方につけることが大切です。
未払いになったらまずできること ― 話し合い〜内容証明
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まずは話し合う
元夫に連絡して、「養育費が支払われていない」「子どもの将来に関わる大切な取り決めである」ことを冷静に伝えてみる。相手が理解していなかった、忘れていた、というケースもあります。 -
内容証明郵便で請求する
口頭だけでは証拠が残りません。内容証明を使って請求しておけば、後から「請求した/しなかった」の証拠になります。
ただし、それでも支払いがない場合は、次のような法的手続きを検討しましょう。
法的手段①:履行勧告/履行命令
履行勧告とは
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離婚時の取り決め(調停・審判など)や合意書を守らない相手に対して、家庭裁判所に「取り決めどおり養育費を払ってください」と勧告してもらう制度です。裁判所から元配偶者へ通知がいきます。裁判所
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手続き自体は比較的簡単で、費用もかかりません。
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ただし、勧告はあくまで「お願い」であって、法的な強制力はありません。「払ってください」と促すだけなので、それだけで支払いが再開されるかは相手次第です。
履行命令とは
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履行勧告の次のステップとして、家庭裁判所に「履行命令」を申立てられることがあります。裁判所が妥当と認めれば、支払い義務を命じる文書が出されます。
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ただし、命令にも強制力は限定的で、命令に従わない場合に10万円以下の過料が科される可能性があるのみ。これだけでは必ず支払いが実現するとは限りません。
これらの手続きは、「まずは元配偶者に支払いの意思を再認識してもらう」「プレッシャーを与える」ことを目的とした手段です。
法的手段②:強制執行 ― 本気で回収したいなら

もし履行勧告や履行命令でも払ってもらえない場合、本格的な回収手段として「強制執行」があります。
強制執行とは
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裁判所の命令で、元配偶者の財産(給与・預金・不動産など)を差し押さえて、未払い養育費を回収する制度です。
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対象となる財産は、預金、給料、不動産などさまざま。給与や継続収入については、将来分の養育費についても差し押さえが可能となる場合があります。
強制執行が可能になる条件
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強制執行を申し立てるには、「債務名義」という公的な証明が必要。これは、調停調書、審判書、判決書、または「強制執行認諾付き」の公正証書などです。
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また、未払いの証拠(預金通帳の写しなど)、相手の勤務先や預金口座情報、住所(住民票や戸籍附票)などを用意する必要があります。
強制執行のメリットと注意点
メリット
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裁判所の命令で財産を差し押さえられるので、支払いを実現させやすい。
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給与や預金など定期的な収入がある相手なら、将来分の養育費を含め差し押さえできる可能性がある。
注意点/デメリット
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債務名義がないと手続きができない。合意だけ・口約束だけでは難しい。
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差し押さえ対象の財産が見つからなかったり、相手が転職や口座を移していた場合は空振りになる可能性もある。
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手続きは複雑で、場合によっては弁護士への依頼を検討したほうが安全。
どの手段をいつ使うか?――状況別の判断モデル
| 状況 | まず取るべき手段 | 次の段階 |
|---|---|---|
| 元夫と連絡が取れて話し合える | 話し合い → 内容証明で請求 | — |
| 話し合いでも払われない/無視される | 履行勧告申立て | 履行命令申立て |
| 履行命令でも払われない/財産がありそう | 強制執行申し立て | 必要なら財産調査の申立て |
※ なお、「いつまでも放置せず、できるだけ早めに動くこと」が重要。支払いを待っている間にも子どもの年齢は進み、教育費や生活費の負担は増えていきます。
実際に手続きするときのポイント/準備チェックリスト
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離婚時の取り決めを確認
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公正証書や調停調書、審判書、協議書などのコピーを探す
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養育費の金額、支払いの頻度(毎月何日か)、合意があったかどうかを明確に
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未払いの証拠を残す
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銀行通帳の写し(入金がなかったことがわかるもの)
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元夫への督促記録(内容証明のコピー、メールやLINEの履歴など)
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元夫の情報をできる限り集める
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勤務先、預金口座、住所など(差し押さえに必要)
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家庭裁判所への申し立て
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履行勧告・履行命令は申立て費用ほぼゼロ → まずは手軽に始められる。裁判所
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強制執行は「債務名義」が必要 → 書類が整っているか再確認を
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専門家(弁護士)への相談を検討
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手続きに不安がある、相手が音信不通、財産が複雑そうな場合などは、弁護士依頼が安心。
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シングルマザーとしての心構えとメッセージ
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養育費は「子どもの権利」であり、あなたが請求することは決してワガママではありません。
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手続きは面倒かもしれませんが、支払いをあきらめたら、子どもの将来の選択肢を狭めてしまう可能性があります。
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一人で抱え込まず、家族・友人・支援団体、そして法的制度を味方につけることで、状況を変えることができます。
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まずは「履行勧告」など、リスク・コストの少ない方法から一歩踏み出すのがおすすめです。